エイプリル

オットーという男のエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

オットーという男(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

「幸せなひとりぼっち」視聴済みです。
怒りを撒き散らして周りにウィットに富んだ言葉づかいで喧嘩を売り続けるオーヴェに比べて、オットーはどちらかといえば諦念に支配されているような印象でした。旧作よりおとなしめなので、「町の嫌われ者」感はやや薄めです。
それから旧作に比べてこっちは過去の妻との回想がかなり多くてドラマチックです。全体のストーリーラインはほとんど同じはずなのに、途中からはまるで新作を見ているような気持ちで没頭できました。人生の終わりに一番良かった時を思い出すの、非常にエモーショナルで良いです。

それでこの映画、めちゃくちゃ良いです。シャリという動画配信者が事件の解決の鍵になるのも今風でいいですし、この人ちゃんとオットーの葬式にも来てくれて、単に金儲けのための動画配信活動じゃないっていうのも分かって演出が上手い。
それから使われなかったベッドをプレゼントとして渡すシーンは相変わらず感動します。
エンドロールの写真とかイラストは全部いいんですが、特にオットーとソーニャが天国でカフェに行く絵、もうこれを見るためだけにちゃんとエンドロール飛ばさず見てほしいです。
終わり方自体は、旧作で子どもがオットーの守ってきた掟通りにゲートを閉めるシーンが「死んでもその意思は継承される」という作品のテーマとばっちり合ってて好きだったんですが、本作はお墓に刻まれたオットーとソーニャの名前で終わります。ちょっと残念ではあったんですが、でも本作はオットーとソーニャの関係性に強くフォーカスしていたことを考えると、このラストカットが相応しかったに違いないとも思います。

自分の人生で最後に何かの映画を観れるとしたら、この映画を選ぶと思います。
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