rage30

ハーブのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

ハーブ(2007年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

知的障害者の女性の恋愛と自立を描いた作品。

主人公が警察官の若者に恋をする、恋愛パートは普通に楽しめました。
特に男の方が、相手が障害者だと知って無視するなど、なかなか酷いんですが、だからこそ、後々の変化にグッと来ると言いますか。
最終的に彼女を守る為に体を張れるまで成長するので、素直に感動しちゃいましたね。

そして、恋愛パートの一方で描かれるのが、母親との別れです。
主人公の自立を描く為にも、母親には退場してもらう必要があったのでしょうが、それにしたって死なせる必要はないと思うんですよ。
母親が長期入院するなり、仕事で不在になるなりでも、主人公が自活する様子は描けるわけですから。

じゃぁ、なんで母親を死なすのか言うと、感動ポルノ的な需要に応える為なのでしょう。
母親が死んだ時に主人公が泣き叫んだと思ったら、母親が死んだ後にも主人公が泣き叫ぶシーンが用意されていて、どんだけ観客を泣かせたいんだろ?と思いました。

肝心の娘の自立に関しても、まったく説得力がないというか、どうして仕事を得られたのかも、ちゃんと仕事をやれるのかも、よく分からないまま。
障害者の自立の難しさを描く事は完全に放棄していて、作り手の興味や意識の低さを感じずにはいられません。

別に「障害のある人が恋愛して幸せになりました~」っていうハッピーな映画でも良かったと思うんですけど、結局のところ、「障害者=泣ける話」みたいな偏見があるから、こういう作品が作られるのでしょう。
まぁ、十年以上前の作品ですし、今は『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の様な作品もあるので、流石に韓国の意識も変わってきていると信じたいところですが、未だに24時間テレビをやってる日本は、このままで良いのかな?と改めて思うのでした。
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