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⻘いカフタンの仕立て屋のHikeのレビュー・感想・評価

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)
4.0
モロッコの路地裏にある仕立て屋を舞台に、男女3人の人間関係を描いた作品。作中に「戒律」というキーワードが出てくるが、『性差』『結婚』といった社会規範に対してそれぞれが悩み、抗おうする姿が印象的だった。

題名にもある「青」は、とりわけ人の悲しみや苦悩を表現する色。オープニングでは波打った青いがクローズアップで映され、登場人物の揺れ動く心情を暗示する。

一方で青い生地と象徴的に使われるのは、鮮やかな黄金色の撚り糸。希望を表現する色である。

3本の糸を撚って作られる過程、波打つ青い生地にひと針ずつ縫い付けられる様子は、登場人物が支え合い、一歩ずつ苦悩の波を超えていく姿そのものだ。

決してハッピーエンドと言えない結末だが、最後のシーンでは苦しみ・悲しみを共有し、背負っていく姿が描かれており一筋の希望が感じられる。さながら、青いカフタンの生地に金色の糸が輝くように。
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