あんときの井上

同じ下着を着るふたりの女のあんときの井上のレビュー・感想・評価

同じ下着を着るふたりの女(2021年製作の映画)
3.7
コレが卒業制作ってマ???

イ・チャンドン監督がチョン・ドヨン主演で、『毒親<ドクチン>』と同じテーマ、『あしたの少女』と同じ世界観で撮った映画、と言われても信じちゃうレベルなんですけどお!?

一緒の2人があるキッカケで袂を分かつも、また元の居場所へと収斂していく様は、古典的なプロットでよく拝見される。

しかしながら、本作は監督自身の体験を練り込むことで、毒親の母とその娘の解像度が上がり、独自固有の物語へと昇華してる。

停電で真っ暗の中、母と娘が会話する約4分間の野心的なシーンは、観客には解らない、母と娘の2人にしか解らないものがあることを視覚的に表現した、監督の勇気あるシーンだと思った。

ラストシーンにおいては、執着し過ぎる母娘の共依存からの自立を、母は別の何かへの没頭、娘は初めての下着選びで表現する監督の個性に感心した。

余談だが、「勝手を許さないで」と娘が同僚に言われるセリフは、『はちどり』の「殴られないで」から影響を受けていると、勝手に思ってる。
あんときの井上

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