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テリファー 終わらない惨劇のこどものレビュー・感想・評価

4.4
至上のカタルシス、テリファー2

初作のレビューでも綴ったように、やっぱりアートザクラウンの魅力は「しっかり被弾するところ」にあると思っている。まぁ、その結果死ぬか死なないかは一度置いておいて。アートザクラウンは体力が無尽蔵にあるけど、ザコ防御力のキャラクター。これはつまり、無限に殴れるサンドバッグに成れるポテンシャルを示唆している。

初作における見どころといったら、やはりバラエティ豊かなアートの殺しである。その中での、被害者とのじゃれ合いにも見える闘いも愉しいことには愉しいのだが、それは映画の主軸にはならなかった。第三者視点でアートの殺人を客観的に眺められるところに面白さがあったのである。

しかし今作ではそれが一変した。
長尺を使いシエナ一家の人間関係が詳細に描写され、その家庭丸ごと蹂躙するアート、という対立関係が明確に描き出され、初作に比べアートの「ヒール感」が強調されている。更に被害者がアートに切りつけられる度に、傷口ではなく被害者の所持品がカットインするという嫌らしい演出すら組み込まれている。あのゴア表現で話題になったテリファーシリーズであるにも関わらず、だ。
ジョナサンやシエナが攻撃される度に、アートに対してなにクソという気持ちを観客に抱かせる。そこにアートお得意の被弾描写が重なると何が起こるか。まさに至上のカタルシスが訪れるのである。そこにご都合主義だと一蹴されない程度の心地の良いファンタジー要素も加わり、1本の映画の終末に相応しいアツいラストシーンが待っていた。
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