ドント

テリファー 終わらない惨劇のドントのレビュー・感想・評価

3.8
 2022年。殺人ピエロが出て殺す! の続編はまさかの138分大巨編。心に傷を負った姉弟が謎のビジョンを幻視して危険な領域に触れながら、それはそれとして殺人ピエロが出て殺す!!
 前作が殺人ピエロが出て殺す以上の何もなかったため2時間越えの本作でもそのようなモノを期待していた。が、なんと本作、こう、詳しいことはわからねぇながらもちゃんとしようとしている。父を亡くし……母親からもイライラをぶつけられるティーンが……運命的なパワー的なものをアレし……こう……ドラマがあるんですよ……
 そのドラマ部分、謎めいた部分が面白いか、興味深いかつったら「う~ん???」と首をかしげて微笑んで誤魔化すしかないのだが、まぁとにかく連続殺人鬼のこととか調べちゃう少年だの、母親に抑圧され気味な娘だの、そういうティーンをね、描きたいと。そんな彼女たちがピエロを英雄(女神)的に倒す現代の神話がやりたいと、そういった気持ちは伝わってきた。
 ここらを削ると92分になったと思うんですけど、無駄だけどさ、撮りたいから撮ったんだよ俺たちゃよ、なんて感じを受けてしまっては、「まぁそこまで言うなら……」と思ってしまう。主人公たるネーチャンはワンダーウーマンかミシェル・ロドリゲスかと言わんばかりのガシッと強い顔つきだし、弟くんは首が清水尋也よりも長くて出てくるたびに「長いな!」と思ったりしたので、そういうこともあってさほどカリカリせずに観ることができた。
 これで肝心の部分がヘナチョコだったら怒っていたが、肝心の部分=ゴアグロは前作を超える流血出血大殺戮だったので満足した。ゴンゴンしたりザクッとしたりドンドンしたりペローンとしたりバゴーンしたりジュワーッしたりボキーッしたり飴を配ったり、いやよくこんだけやってくれるね! 大盛りだね! えっ今日はデザートもついてオモチャもつくのかい! ってなお子さまランチの幕の内状態であった。
 ただやはり、個別の仕事ぶりには丁寧さがあって素晴らしいのだけれど、2時間超の割にはキルカウントが少ない。ひとつひとつが丹精込めて作られている点に職人の志はある。が、やはりこの長尺、大量生産シーンがもう一発欲しかったところ。序盤に一ヶ所あるけどさ、ほら、パーティがあったでしょう……どうせならあそこがね……ゴリゴリのザクザクに凄いことになるのが見たかったよね……そうだったらもっと満足度が高かったはず。
 まぁアレですよ、おめーら続編待ってろよ! な終わり方でありましたので、そのあたりは『3』を待ちたいと思います。3ではドラマを削って、職人芸とフェスぶりを増量し、さらに姉弟の背景を絵解きして、最後はアテナみたいなね、ゴーゴン退治みたいな女神誕生譚を期待してますよ。「あの絵」はまだ完全には再現されてないッスからね。クラファンやって日本からも送れるなら少し支援する用意はある。よろしく!
ドント

ドント