デニロ

梟ーフクロウーのデニロのネタバレレビュー・内容・結末

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

118分の作品ですが、ものすごく長く感じます。1時間もしないうちに飽きて来た。

盲目の鍼灸師/ギョンスが宮廷の医療グループに採用されて・・・・。

17世紀の李氏朝鮮の宮廷モノで馴染みのない設定なのですが、宮廷の事は忘れて登場人物の序列だけに集中して観ることにした。その頃、朝鮮は国際情勢を鑑みて中国とは友誼を結んでおかなければいけないけれど、力に屈するのは為政者としての矜持に関わる。そんなこころ根を清国に見透かされ戦わざるを得ない状況に追い込まれ、清国の疾風怒濤の責めにあえなく屈辱的な敗北を喫する。そして世子(後継者)である長男を人質として送らざるを得なくなる。

7年後、世子が朝鮮に戻される。世子は清国の大きさとその国際感覚を知るところとなり、清国との関係は穏やかに結びたいとかんがえて帰国する。朝鮮にもそうしたかんがえ方を持つものがおりその代表が領相(国務総理)だった。しかしながら屈辱的な土下座外交を強いられた王はそれを忘れてはいない。宗主は、清国ではなく明国だ、と時代遅れの認識で官僚たちからは疎まれるに至る。そんな国情の中、領相をはじめとする官僚たちにとって世子の帰国は希望であったのでした。

その世子が死ぬ。

その死の瞬間を見ていたのが盲目の鍼灸師/ギョンスであったのです。

見ていた?と、疑問に思われるでしょうが、彼は明るさの中では盲目となるのですが、光がないところでは微かに見ることができるのです。それに気付いたのは世子でした。長年の人質生活で体の弱っていた世子を鍼でその弱っている体を支えていたのです。勘の鋭さと共に人格的にも優れた世子にギョンスは希望を抱いていたのです。

世子の死の原因は、御医ヒョンシクの使った毒針でした。施術中、ヒョンシクはギョンスの態度に疑いを持ち見えているのではないかと針をギョンスの目に突き刺す仕種をし寸止めします。が、ギョンスの瞳は開いたままで微動だにしません。それが、ポスターのシーンです。

で、暗殺を企てたのは誰であるのか、その証拠は、それを見てしまったギョンスの運命は如何に、とかいうサスペンスが続くのですけれど、観ている観客にはマルっとお見通しでストレスはありません。巻き込まれ形のストーリー展開なんですけれど、テレビドラマ「もう誰も愛さない」を観ている世代には物足りません。一瞬でも寝落ちしたら何が何だか分からなくなるくらいにして欲しかった。

ギョンスは、宮廷に入る際に、聞くな、見るな、気にするなと忠告を受けていたんだけど、ついつい暗殺事件に首を突っ込んでしまって、魑魅魍魎達の道具にされてしまう。運命の流転の果て、見えない目で見上げた月に彼は何を思ったのか。その姿に宮廷の役人は何を感じたのか。

4年後、ギョンスは長蛇の列をなす鍼灸師として名を成し、再び宮廷に迎え入れられて、さて。

王の妾を演じていた女優さんに見覚えがあって、それを思い出せないことだけがストレスで、家に帰ってキャストを調べ、ひとりひとり検索してようやくわかった。韓国ドラマ「賢い医師生活」で指導教授に恋してしまい押しに押しまくる一途なレジデントを演じていたアン・ウンジンだった。悪役向きのお顔じゃありません。
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