第35回東京国際映画祭
コンペティション『ファビュラスな人たち』
イタリアを舞台に、トランスジェンダーの女性たちが亡くなった仲間の無念を晴らそうと数年ぶりに集まるところから話は始まります。
無念とは意に反して男性モノの洋服や化粧のまま埋葬されてしまったこと。夢に出てきたメッセージを頼りに、残された5人が降霊術を用いて死者を呼び寄せる様をコミカルなタッチと鮮やかな描写で描いています。
見る以前は墓を掘り起こしたりなど実際にフィジカルな面での「作戦行動」のようなものが描かれていくのかと想像していましたが、スピリチュアルな展開に驚かされました。
ドキュメンタリーではないのですが、トランスジェンダーのキャストを起用しており、その方々の体験談を交えながら進んでいく構成はとても面白いあまり見たことがないなと個人的には思いました。また、センシティブな話題をとてもコミカルに鮮やかに描いており、それが彼女たちひいてはこの映画の大事なエッセンスになっているなと感じました。
文:やまと