クーリンチェ少年殺人事件とは全く違う雰囲気や、カットの切り方をしながらも、やはり人と人とがすれ違いながら、それでも何かしらの方法を持って繋がろうとする様を描いているのではないかと思う。
やはり冷静な視点というのが基調になって、さまざまな男女の心の移り変わり、関係性の変化を描き出す。個人的には、相手に何かを求める事ばかりだった人々が、ラストには自分を振り返り、相手に寄り添っていく話だと思う。
複雑に絡まる人間関係の面白さ、場面が展開していく毎にさまざまな面を見せる人間の描き方は見事。省略と余白の中に観客の想像する隙間をつくり、味わい深さを増している。一人一人の人間の身勝手さ、寂しさ、依存性、その中で生まれる衝突や怒りを描きながら、最後には許しについての物語となっていると思う。
