東京国際映画祭学生応援団

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版の東京国際映画祭学生応援団のレビュー・感想・評価

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第35回東京国際映画祭
ワールド・フォーカス『エドワード・ヤンの恋愛時代』

心に空虚感を抱えた都市の若者たちの姿を二日半の短い時間に凝縮して描いた辛口の青春群像劇。『牯嶺街少年殺人事件』(91)に続いて製作された名作が4Kレストア版で甦る!台湾映画・メディア文化センターによる修復。

権利問題が複雑でこれまで再上映に至らなかった本作、エドワード・ヤンの奥さまからOKをいただいたとのことでヴェネチア映画祭で上映。そして今年のTIFFでも上映に至ったとのこと。

これまでエドワード・ヤンの作品を観たことはなかったが、観終わっていちばんの感想は「めっちゃウディ・アレンっぽい」。登場人物のくっついたり離れたりの軽佻浮薄な関係性やコメディタッチなところ、そしておしゃれな描き方からそう感じた。

聞く限り前作の『牯嶺街少年殺人事件』はかなり暗い作品とのことで、その前情報からは想像できない作風だった。タイトルで恋愛時代といっているので恋愛映画かと思ったが、実のところそんなことなくて。原題にある獨立時代の通り、いつも一緒にいた人間たちが一度切り離されて自分自身を取り戻し、ひとりの人間として独立していく様子が描かれていて素晴らしいなと感動した。

『海辺の一日』や『カップルズ』なども、権利問題をクリアして日本で観れる日がくることを切に願う。

文:ともか