地底獣国

燈火(ネオン)は消えず/消えゆく燈火の地底獣国のレビュー・感想・評価

3.7
「消えゆく香港(の風景)とサイモン・ヤム」と言えばリンゴ・ラムの遺作「道に迷う」を想起しますが、あちらが「香港の歴史を映像に刻み込んでおく」という意味合いが強かったのに対し本作は「時代の大きなうねりの中で、“香港の魂”をどうにかしてつないで行こうとする人たちの物語」と自分の眼には映りました。

正直「(サイモン・ヤム扮する)亡き夫が最後に手掛けようとしていたネオンとは?」というマクガフィンは上手く機能してないし、話の着地もベタではありましたが、それでも「あの灯火を消してはならない‼︎!」という、作り手の香港人としての底意地には大いに心を揺さぶられました。

技と志を受け継ぐ者たちがいる限り、再び輝きを取り戻す機会は巡って来る、それが50年、100年先になろうと‥そう信じたくなる一本でした。そしてサイモン・ヤム絡みでもう一つ思い出した作品がありますがそれはまた別の機会にレビューします。


“香港映画は終わった”と多くの人が言う
“かつての輝きを失った”
“死んだ”という者さえもいる
だが、そうは思わない
死ぬはずがない
1本でもあれば香港映画は死なない
− 杜 琪峯−


「それが法律だって言うんなら、法律の方が違法よ‼︎」
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