ずっと気になっていた作品。
予告編を見てなんとなく雰囲気を掴んだ上で見ましたが、人物同士の何気ないやり取り、独特なカメラのアングル、ホームビデオとカメラが突如入れ替わる編集が組み合わさり、監督自身の幼少期の記憶を大人になった視点から覗いているような感覚になります。
監督自身が伝えたい強いメッセージや起承転結のはっきりしたストーリーを楽しむというよりは、繰り広げられる親子間の繊細なダイナミクスから伺える様々な感情に静かに浸るような作品でした。
一個人としてのアイデンティティを喪失していく悲しみと閉塞感、父親という役目を果たしながらも鬱に苦しむ姿…幼い子を産んだ今だからこそ、優しい眼差しで父親を見て理解できるのだと思います。
Paul Mescalはもちろん、Frankie Corioの自然体の演技が素晴らしく、二人を見ているだけであっという間に時間が過ぎていきました。
Paul MescalはNormal Peopleを見てから好きになり、The Lost Daughterの脇役としても登場し、今回Aftersunに出ており、インディーズの女性目線の作品を選んで出演している時点でだいぶファンなのですが、なんとなく似たタイプのキャラクターを演じている印象もあり、今度は違った路線の役に挑戦している作品を見てみたいと思いました。
アカデミー賞ノミネートを受け色んなオファーが来ているんだろうなと想像しますが、どうかフランチャイズものにはいかないでほしい...
