良かったです!
僕はどんな分野に於いても何かに「こだわる」人が大好きで自分自身も音楽や映画や本に僕なりのこだわりがあります。
ただ、僕のこだわりなんて薄っぺらいですけど(笑)
こだわる人はその道に詳しく、楽しい事も辛い事も、人以上に知っているから、そういう人から、こだわっているモノの話を聴くのが大好きです。
美味しいのは勿論、見映え、食器、雰囲気までこだわる料理人。
卓越した技術、豊富な知識を活かし客を満足させる為に髪にこだわる理髪師、美容師。
自身の体験、経験を織り交ぜ、人々を笑わせる、話にこだわる芸人。
他にも沢山、こだわる人が居ます。
しかもただの趣味だけでは留まらず、それを職業に変えるプロフェッショナルも居ます。
手に職も何も無い僕には尊敬でしかありません。
今作の主人公、サム・フェイブルマンもその一人で彼の"映画"に対するこだわりは誰にも負けません。
そして彼のそのこだわりが、彼自身、クラスメイト、そして家庭にまで影響を及ぼします。
今作は、名匠スティーブン・スピルバーグの自伝的作品らしく、彼自身が監督しています。
僕は幼少期の彼が映画監督になるまでのサクセス・ストーリーだと思っていたのですが、中々ヘビーな家庭環境、少年時代でした。
また「映画」そのものに潜む光と影も描いていて、いかにも"映画にこだわった人"にしか判り得ないストーリーだと思いました!
サムの両親も例外では無く、とことんモノ作りにこだわるエンジニアの父。
いつも明るく剽軽でチャーミングだけど愛にこだわったピアニストの母。
サム(スピルバーグ)は一方的で身勝手にも思える両親のこだわりにより得た喜びや悲しみまでも映画作りという自らのこだわりに投影したような気がしました。
彼には映画しか無かったのかも知れません。
キャストにも監督のこだわりが見えます!
まず主人公サムを演じたガブリエル・ラベルがめっちゃ良かったです!
頭が良く、合理的。
しかし家族を愛するサムの父、バートにポール・ダノが!
幼い子供たちと同じ目線で物事を考える、中々ぶっ飛んでるけど、とにかく可愛い母ミッツィをミッシェル・ウィリアムズが!
他にも個性的で魅力溢れる役者陣が今作を彩っています!
印象的だったのが巨匠、ジョン・フォード監督(な、なんとデヴィッド・リンチ!)とサムが出会い、「映画作りは心がボロボロになる」と言ったのが深い感動を覚えました。
そんな思いまでして作る「映画」という、言ってみれば娯楽を簡単に安価で楽しむ事が出来る。
それって物凄く贅沢な事なんだ!
と思いました。
"オタク"?
"マニア"?
上等じゃねえか!!