Shun

フェイブルマンズのShunのネタバレレビュー・内容・結末

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

スティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的作品。
感動ドラマを勝手に期待していたのですが、良い意味で予想を裏切られました。

家族で映画館に行き映画に夢中になった幼少期から、映画作りに没頭する青春時代まで、理想的な人生を歩んできた訳ではないけれど、酸いも甘いも知る普通の監督だからこそ多くの人の心に残る作品を今も生み出し続けているのかなと感じました。

ピアニストの母親の奔放で少しぶっ飛んでる行動は芸術家であるが故の性分なのか、決して肯定される行為ではないけれど、サミーの大人の対応は賢明だったと思うし、家族の元を離れる決意をした母を非難しなかったサミーの優しさは、自分の気持ちに正直になれずに苦しむ母親に対する愛情だったのかなと思いました。

高校生になったサミーといじめっ子の関係だったローガンが最後に不思議な関係性になったのも興味深い。

カメラに映るローガンの姿は映画のヒーローさながらで、ただ彼を被写体として捉え続けたかったから、いじめっ子だろうが撮ってしまうサミーに対して、実はそうではないのにヒーローという周りからのイメージに人知れず重圧を抱えるローガンが心の内を吐露して涙を見せるシーンは、奇妙で、言葉で上手く表現できないけどすごくジーンとさせられました。
その後、唯一無二の友みたいになってると良いなと勝手に妄想しました笑

サミーの幼少期を演じた子役がめちゃくちゃ可愛い😊
吸い込まれそうな青い瞳が印象的で、初めて映画館で映画を観た後の放心状態の表情が忘れられません✨

御年91歳、ジョン・ウィリアムズの音楽も相変わらず素晴らしくて、スピルバーグ作品と相性抜群ですね。温かい気持ちになる、感動のメインテーマだと思いました👍

自分の半生を映画化しようとするとつい美化してしまうと思いますが、例えドラマチックな展開が待っていなくても、経験してきたことを正直に形にした監督の素直な想いが結果的に観客の心を掴んだ気がします。

全てのスピルバーグ監督作品を見てきたわけではないですが、この映画を観ると、実体験とこれまでの作品との共通項を探すのも面白いだろうなと感じ、より一層スピルバーグ監督の映画を観たいと思いました。
Shun

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