借り暮らしのアラサッティー

正欲の借り暮らしのアラサッティーのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
1.9

このレビューはネタバレを含みます

原作読んで面白かったので、映画もすかさず視聴。

感想としては、本は良かったけど、映画はうーんってかんじ。

本の内容を映画サイズにまとめるには、色々端折る必要があって、製作側の端折り方が私的にはハマらなかった。

以下、ハマらなかった点。

1番は、八重子の部分をカットしすぎたかなということ。
八重子の役柄が、ふくよかで、自分の容姿を好きになれないくらいの容姿の設定だったけど、映画では華奢(細すぎるくらい)な方を起用しているところ。華奢すぎて不気味さはあるので、まあ我慢したとして。
なぜ八重子が異性愛者でありながら、異性が恐怖の対象になったのかが、掘り下げられていないので、大也に説教するシーンは唐突に感じた。(セリフの中で兄が気持ち悪いって言ってたけど、お兄さん映画に出てきてないから、入れる必要あったか?と思ったり)
ダイバーシティの実行委員という設定だけで、本の中に描かれていた、繋がりというテーマを持って本人なりにやっていた、という部分が浅い結果、八重子のキャラクターが、ストーカー紛いの女子大生になっちゃったのが残念。八重子カットしたせいで、本の結末である八重子の描写がなくなり映画の締めの部分も変わってしまったのも残念。
本は、八重子が友人と話していたとある事件(恐らく、対物フェチの事件)について、深く考えることもなく脳内を通り過ぎていくという終わり方。
多様性、多様性って声高に話す人ほど、表面的にしか捉えられていないのかも?と思わせる終わり方だったからこそ、多様性って結局なんなん?という問いになってたのかなーと思っていただけに残念。

夏月については構成の要なので、端折る部分は少なかったが、本のイメージと少し違うなと思った。窓ガラス割ったり、イオンモールの他店で働く同僚を睨みつけたり、世界に対してこんなに敵意剥き出しになるようなキャラだったっけって思った。ただただ感じが悪いガッキーを見せつけられてちょっと残念。
(ガッキーが演じるキャラだから余計にギャップがあったのかもしれない)

ひろきについては、ひろきこそ普通の人間として出てくるのに、本では、実は妻の涙に興奮するという、普通だけど普通なの?って思わせるキャラだったのに、その辺端折ったから、ただの異常性愛に理解ができない人になってしまったのが残念。そういうキャラにしたから、妻子に出ていかれるというストーリーになっており、なんだかなあと思った。

本の中で、マジョリティの中でのマジョリティはマイナーであるといった言葉が印象的だっただけに、その辺が感じられなかった。