おにくちゃん

正欲のおにくちゃんのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.6
フェチズム=欲かどうかはわからない。
ここには記さないが私にもそれはある。 

欲を満たすこと=犯罪になる人が世の中にはたくさんいる。
被害者がいる場合は特に擁護は出来ないが、そういった事件が起こる度に何とも言えない気持ちになる。

昔人気お笑い芸人が高校に進入して女子の制服を盗んで捕まった事件があった。
びっくりはしたけど何故か同時に複雑な気持ちになった。

その当時レンタルビデオ店に行けば明らかにその女子高生(表記は女子校生)を性の対象にした作品が並んでいたし、もっとひどい内容の作品も沢山あった。
どこのビデオ店に行ってもその状況は変わらない。
それを鑑賞して欲望を満たしている人間とその人気お笑い芸人に「欲」の部分では差はないと思った。
もちろん被害者の精神的ダメージは大きかっただろうし、窃盗をしているという時点で糾弾されるべきだ。
でもそういう人間はこの作品の登場人物のように生きる事を前提とした世の中の仕組みについていけないのだと思う。
築き上げてきたものと欲望を毎日天秤にかけその欲が枯れるまで絶望した毎日を送り続けるのだ。
この作品で興味深かったのは欲望=犯罪でない人も同様に苦しんでいるという視点だった。

ホアキンのジョーカーを鑑賞した後の何とも言えない気持ちを思い出した。

映画としては微妙な部分も多いのだが、内容と役者陣の演技の素晴らしさを含めて楽しめた。

原作を読んでいないので読んでみたいと思う。