Hara

正欲のHaraのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.4
うむ〜。
年末になっていい映画が続くな〜。

まだまだ辛い思いをしている方も多いだろうが性的指向への理解は少しずつ進んでいると思う。
私の周りにも指向を隠す事なく周りからも受け入れられている方もいる。

だけど性的嗜好についてはよっぽど親密なパートナー、あるいは同じ嗜好を持つもの同士以外は秘匿にする。
そこには犯罪に繋がる嗜好もあり、何より「変態」と捉えられる場合も多いから。
それは決して多様性と言う言葉で理解されるものではない様な。

水フェチの桐生夏月も佐々木も諸橋も徹底的に秘匿していた。
誰にも理解されないであろうと思い常に生き辛さを感じていた。
人というものに絶望感を持っていた。
笑顔を忘れた毎日。
だけど同じ嗜好のパートナー、仲間に救われ笑顔を取り戻す。
だけど、そこに仲間を装った別の嗜好の人が紛れ込み、、、。

「私はいなくならない」

二人の強い繋がり。
それは同じ嗜好と言うだけでなく初めての人としての繋がり。
寺井検事には決して理解出来ない繋がり。

その寺井検事、家族に言ってる事は間違ってはいないと思う。
ただその伝え方が威圧的で何よりも相手の話しを聞かない。
相手の話しを聞かないから自分の基準しか理解出来ない。
検事がこんな人ばかりだと恐いな。

新垣結衣は素晴らしかった。
常に死んだ様な目と表情。
寝具売場で同僚に毒付く場面とか今までの新垣結衣からは想像出来ないキャラ。
だけどガッキーと言う女優としてのアイデンティティはきちんと保っていて、だからこそ重くても暗い話しにはならなかった様な気がする。
卵焼きを焼く場面で「ヨッ」と声を出す所などガッキーらしい充実感の表現で良かった。

磯村勇斗、「月」に続く難役。
だけど今作でもやはり凄かった。
今の若手俳優の中では頭一つ抜けた演技力を持っているのでは。
出ている映画は観たくなる俳優さん。

誰もが何らかの性的嗜好はあるのでは?
もちろん私も。
それは制御と開放を使い分け上手に付き合っていくものなのかも。
Hara

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