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正欲のhirobeyのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

タイトル以外、情報を入れずに鑑賞。

「霧島部活やめるってよ」の朝井リョウ原作。性欲ならぬ正欲とは。

印象的な映画だった。

磯村勇斗。こういう社会問題を扱う作品が本当に多い。彼が、精力的にこういう作品をチョイスしているように思う。

新垣結衣。今までのガッキーとちょっと違うあの力の無い空虚な目。しかし、終盤の彼女のある言葉に胸が打たれた。

稲垣吾郎。いわゆる多数派として、しかも封建的な権力サイドとして、分かりやすく彼らや家族と対峙する。彼の考えは、基本的には共感するところが多い。小学校は行った方がいいと思うし、YouTube発信はリスクも大きいと思う。しかし、相手を一言で全否定してしまうのは、イマドキではない古さを感じる。
奥さんの過保護ぶりには閉口。子供もちょっとね。

夏月、佐々木、諸橋らの特殊性癖を中心に展開する。更に、小学校に通いたくない(通えない)子供、男性にトラウマを持つ女子大生、小児性愛者などの他人に言えない部分を持つ少数派が描かれた。考えてみれば、人は皆それぞれ違う。他人の本当なんて分からない。表面上は多数派を装っていても、本心、本音、考え、感じ方、癖、欲するものは違う。裏を返せば、どんな形もあり得るということであり、誰にとっても本当の部分は正しい。それを"正欲"と表現したのだろうか。

多様性の時代と言われる。それを認めることが当たり前になりつつある。ラストシーン、視聴者も含め多数派と思われていた側が、既にマイノリティなのでは?と突きつけられたような衝撃があった。

女子大生・八重子の口元と男子大学生・諸橋の真っ直ぐな目が印象的だった。

エンドロール。Vaundyの曲が刺さる。

*****
朝イチの舞台挨拶中継回に行きそびれたのが、とっても悔やまれる。
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