スワヒリ亭こゆう

正欲のスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.5
映画を観る前に予習がてら原作を読んだんです。
凄い問題提起をしてきた素晴らしい小説でした。
で、映画の感想を書こうと思ってるんですけど、原作と映画は大筋はほぼ同じでした。映画は小説を倍速で表現していった印象ですね。
ストーリーが粗いというほどではないんですけど、小説を読んでない場合はどういう感想になるんだろう?と思いました。
新垣結衣さん演じる夏月や磯村勇斗さん演じる佐々木佳道はよく掘り下げてキャラクターが描かれていましたが、他のキャストの登場人物は原作からすると割愛された気がします。
長編小説を映画化してるので仕方がないんですけど勿体ないですよね😅

映画よりも小説の方が良かったのは確かなんですけど、役者さんは流石に凄かった。特に新垣結衣さんと稲垣吾郎さんが良かったです。
新垣結衣さんが言葉ではなく表情で感情の全てを表現している演技が良かったです。ちょっと笑っちゃうぐらいの表情がガッキーから新垣結衣という女優さんとして、どんどんステップアップして入り気がします。
稲垣吾郎さんの原作の寺井啓喜をよりリアルで強烈な演技で見せていました。主演という割に出番が少ない印象ですが、稲垣吾郎さんの演技で存在感を示していました。

稲垣吾郎さんの演じた寺井啓喜が僕は本作の1番の問題提起だと思ってるんです。
原作に比べて弱かったです。
タイトルの『正欲』に関して、映画を観る限りでは性欲の正しさから逸脱した人を描いている作品でした。
ですが僕は寺井啓喜の正しくありたいという意味での『正欲』の話でもあると思っているので、そこのストーリーは物足りなかったですね。
本当はそこの着眼点が素晴らしいんですけど。

小説と映画のストーリーはほぼ同じ展開だったのでレビューが原作との相違にばかり書く形になってしまいました。映画のレビューとしてあまりに面白くない文章になった事が個人的に悔やまれます…