ゆめちん

ヒトラーのための虐殺会議のゆめちんのレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
3.5
ヒトラーのための虐殺会議
 
1942年1月20日。国家保安部代表のラインハルト・ハイドリヒは、ナチス親衛隊や政府高官ら15名をベルリンのヴァンゼー湖のほとりにある邸宅に集め、ヨーロッパ全土のユダヤ人に関する会議を開催する。
 
軍人や官僚がそれぞれの立場で議論し合うのは、どこにでもある会議の風景。しかしその出席者全員が、"ユダヤ人殺害" という共通認識のもと、顔色ひとつ変えずに理路整然と、人道性を欠く議論を行う光景は不快でしかない。
虐殺シーンや拷問シーンなど全くないにも関わらず、今まで観たヒトラーやホロコースト関連の映画の中で、ある意味最も恐ろしいものを観たかも知れない。
 
そんな彼らも、休憩時間には互いの家族の話を当たり前にしたり、家に帰れば良き父親や夫であるのだから、もう言葉が何も出ない。
本作がドイツ製作で、加害国でありながら歪曲せずに事実をしっかりと伝えているところがせめてもの救い。
 
それにしても、会議の中で記録係を担当した秘書の女性に、"彼らと同じ考えだったのか" "こんなことを記録することに苦悩はなかったのか" など色々聞いてみたい。
ゆめちん

ゆめちん