渡辺監督が実際に東京国際映画祭で日本映画スプラッシュの作品賞を取った「プールサイドマン」は観たことがあります。その作品からは想像のできない監督のいい加減さというか見栄っ張り具合だったので実名登場しているけど監督自身ではないのだろうと思ってましたが、舞台挨拶に登場したリム・カーワイ監督の話ではもっと腰が低く嘘のつけない人だと言ってましたので、カーワイ監督の創造の産物でした。お調子者でちょっとほら吹きの渡辺監督が結局人生の転機である浦川にたどり着き映画制作から上映側に回ってしまったというオチだったのですが、ミニシアターがアップアップの状態で何とか頑張っている様子とか、特集上映が博打のようなものなのかを知ることができました。それにしても監督は実名登場で大田原愚豚舎も実際の制作集団なので、この映画に出演するのは渡辺監督にとってもちょっとした賭けだったんじゃないのかなあ。映画の未来は決して明るくないのはわかるけど、映画館で上映という形態がもうしばらくは続いて欲しいものです。現在本屋が大手チェーン店とほとんど趣味の個人商店だけになってしまったように、シネコンとミニシアターだけとなり、いつの間にかなくなったストリップ劇場のように知らないうちに無くなってしまうのかもしれないんだけど、やっぱり暗くて広い空間の中で大きなスクリーンに投影される反射光による映画を観る機会がなくならないことを祈るばかりです。これまで見たカーワイ監督の作品は「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」と「マジック＆ロス」だけですがこれらに比べるとかなりわかりやすくて見やすい映画でした。
