ニタ

福田村事件のニタのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.0
皆さんのレビューを拝読、さらに史実の知識も得た後で鑑賞。私のところでは最終上映日で滑り込みだったのですが、そんなに大きくないシアターはわりと混んでいました。

衝撃的な事件が起こるまでは、様々な角度から人々の暮らしぶりが描かれる。
人間臭い話の数々。色々な立場の人が確かに生きてそこにいるという証。

頓狂な声を出す田中麗奈に違和感があったが、そういう役回りだとわかって納得。力の抜けている時と終盤に向かう熱を帯びた演技との落差が役の人柄を際立たせていた。
80~90年代がまだこの間感のある私は😅彼女に"なっちゃんCM"の頃の何とも言えない弾けるようなイメージがあるので、随分まぁ大人に…と思ったら、もう40代なのですね!素敵な女優さんだなと思います。
アンニュイなコムアイの空気感にも驚きました。凄い。
柄本明は言うまでもない存在感でしたが、水道橋博士はキャスト名を見てもわからず!!役というか、時代の造った怪物を全身で表現。恐ろしい演技。


強烈な差別が日常化する世。
人を殺めるほどの狂気。
取り憑かれたように思いが伝播していく描写。タイコの音が不釣り合いで、胸騒ぎが止まらなかった…
なぜ"大義"と感じ、凶行に走ったのか。
止められない流れに入った時、人はああも変わるものなのか。
飲み込まれる女性記者の信念(←あの時代にどこまで抗えたのか、個人的には少し疑問)。
この村で生きていかなければならない皆を憂慮する村長。
「何の為に生きてきたのか」という言葉を残して絶命する被害者。

鑑賞後、心に疲労感が残るのは、今の時代にも繋がる投げ掛けられた多くの問いに対峙せざるを得ないからか。

(おまけ)
東出昌大の鎖骨が色っぽかった。
井浦新が麗奈ちゃんに背中を向けてかがんだのが(おんぶしてあげるポーズ)全く何かわからなかった私は、暗がりで苦笑。
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