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警視庁物語 逃亡五分前のドントのレビュー・感想・評価

警視庁物語 逃亡五分前(1956年製作の映画)
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 1956年。拳銃を使ったタクシー強盗殺人が連続し、これで4件目となった。警視庁の捜査一課は車内に落ちていた楊枝入れから犯人を辿っていく。
 2時間ドラマや連ドラでおなじみ刑事モノ(つっても最近はそんなにやらなくなりましたね)の元祖と呼ばれる作品だそうな。時間はわずか60分。淡々と捜査して終盤に多少の立ち回りがあって逮捕して終わりという淡白さで、刑事たちのキャラもあってないようなもので、ドラマ方面の美味しさはあまりない。
 一方で戦後11年目の東京の風景風俗、人々や物品の様子がズラリズラリと映し出されていくのを観るのは楽しかった。小鳥にオミクジを引かせる露天とか、お姉さんが雑誌(駅や電車内に忘れたか捨てられてたものかしらん?)をゴザ敷いて売ってるとか、映像資料、ヒストリーですわよね。
 任侠映画を量産し、約20年後には『激突!殺人拳』で千葉真一のものすごい顔面を撮る小沢監督の無駄なくタイトな撮影もよい。冒頭の強盗直後のシーン、死体を残した車からスゥとカメラが引き、パチリと夜から朝に変わって現場検証がはじまっていて、やりとりが少しあってから刑事が運転席をのドアを開けると、無惨な射殺死体にグーッとカメラが寄っていく、この流れが大変によくて心を掴まれた。
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