朗らかなこっぺ

METライブビューイング2022-23 ヴェルディ「ファルスタッフ」の朗らかなこっぺのレビュー・感想・評価

3.8
 オペラは喜劇より悲劇のほうが好みなんだけど、悲劇ばかりを書いてきたヴェルディが最後の最後に喜劇を書いたこと、その意味を知って、喜劇って奥深いなって思った。80歳のヴェルディが、これを書いてる最中に奥さんや娘さん、同僚たちを亡くして、それでも喜劇として完成させようとしたことは、作品そのままヴェルディの死生観や人生観なんだろうなと感じた。最後の大合唱で出てくる歌詞、「人生はすべて冗談。最後に笑う者が本当に笑う者」は聞けば聞くほどに鳥肌立つし、考えさせられる。