パピヨン

インスペクション ここで生きるのパピヨンのレビュー・感想・評価

4.0
たかだか設立11年目の映画製作·配給会社「A24」快進撃は目覚ましく、本国アメリカはもちろん世界的にもその名を轟かせていますね。「CLOSE/クロース」「Pearl パール」「aftersun /アフターサン」「ザ·ホエール」「アフター·ヤン」
「LAMB/ラム」「カモンカモン」「ミナリ」と、直近だけでも一癖ある魅力的なラインナップですね。
本作品は若くして父親のいない子供を産む等、人生の荒波の拠り所とした宗教に真の目を奪われた母親と、その母親を深く愛するゲイの息子の人生を垣間見せるのです(監督自身の半自伝らしい)。ただ信仰する宗教が許さないからか?母親自身が許せないのか、ゲイの息子は16歳で捨てられその後10年間ホームレスとして生きてきた。イラク戦争下のアメリカで唯一の親族に捨てられ、ゲイの黒人青年は死ぬ場所を求めていたのか、母親に認められたかったのか、海兵隊に入隊するのですが····。
親族との距離は人それぞれで、何でも話せる関係から、秘密を抱えたままの関係から、何でも知ってるつもりの関係まで千差万別ですね。ただ現実社会で、幼少期からここで苦しんでいる子供たちがニュースになるのは辛い!
何をされても何もしてくれなくても、未熟な親を慕い続ける子供がいるのは現実だし、ただ生きるために軍隊に入隊せざるを得ない若者がいるのも現実なんですよね。「何かもっと他に選択出来たでしょう?」なんて外野の言葉は無意味なノイズでしかないですよね。この息子の海兵隊への入隊は、当初の目的とは違ったかもしれないけれど、彼の人生及び人間性を180°変える力があったかな?
その昔、母親は自身の窮地で宗教に傾倒し、その息子は己れの成長で乗り越えようとしている!
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