ゆめちん

インスペクション ここで生きるのゆめちんのレビュー・感想・評価

3.5
インスペクション ここで生きる
 
フレンチは、ゲイであることを理由に母に捨てられ、16歳から10年もの間ホームレス生活を送っていた。自分の居場所やアイデンティティを探し求める彼は、自ら海兵隊への入隊を志願する。
 
95分とコンパクトに纏められテンポ良く展開していくが、ブラットン監督自らの経験にもとづいた話だけあって、物語自体や主人公のキャラクター、そしてハリウッド映画のような結末とは程遠いラストも含めリアルに感じる。
 
軍隊内でのフレンチへの風当たりが相当強いが、それ以上に凄まじいのが母親と息子の関係。表向きには "愛している" と言いながらも、息子の "ありのまま" を断固として受け入れようとしない母親には観ていてうんざり。母親の息子に対するちょっとした言動さえも気分が悪くなる。
 
差別や嫌がらせにあっても、周囲に否定されても、自分が自分らしくあることを諦めないフレンチ。彼の悲哀に満ちた表情がスクリーンに映るたびに胸が痛くなる。主人公の感情を目の動きだけで表現するジェレミー・ポープの演技が素晴らしく、今後も注目したい俳優である。
ゆめちん

ゆめちん