ギズモX

オオカミ狩りのギズモXのレビュー・感想・評価

オオカミ狩り(2022年製作の映画)
4.6
【地獄の蓋が開くとき】

創作の中における怪物の役割は地獄の鬼と同じだ。
残酷極まりない行為を働き、この世を支配した気でいる畏れを知らぬ者に裁きの鉄槌を下し、彼らが以前に犯した罪、業、その報いを受けさせる。
それはかつて、『死霊のえじき』でゾンビのパブが横暴な軍人に向かって銃を放ち、生きたままその肉を貪った時や、『ランボーラストブラッド』でランボーが麻薬カルテル共を自分が掘ったトンネル内で皆殺しにした時と同じ様に。
連中が既に良心を棄ててしまっている以上、そこに慈悲や憐れみなんて言葉は存在しない。
あるものは痛みと怒り、それだけだ。
では何故怪物はそれを容赦なく遂行するのだろう。
答えは簡単。
地獄の鬼を怒らせたから。
開けてはならぬ地獄の蓋を自らの手で開いたからだ。

韓国映画史上最高峰の残酷表現が炸裂する、警察VS犯罪者VS最強怪物の超絶スラッシャー映画。

"フィリピンで逮捕された極悪犯罪者達を刑事と一緒にタンカーに乗せて韓国まで護送する任務が発令。
しかしそのタンカーの奥深くでは、誰も知らないところで血だらけの怪人が眠っていた。
そんな中、犯罪者が脱走を企て、船内は血みどろの銃撃戦が勃発。
その時のショックが原因となって怪人が目を覚まし、刑事と犯罪者、あらゆる人間に襲い掛かる"

舞台を作るのに必要な説明や設定を最低限まで削ぎ落とし、物語の殆どを過激なバイオレンスで埋め尽くした強烈すぎる逸品。
映画館を出た時は汗でシャツがビッショビショになるほど興奮が収まらなかった。
韓国版『ザグリード』『ザレイド』というべき大傑作だ。

もうね、怪人が涙が出るくらいカッコいい!
一目でヤバいと分かる凶悪なビジュアル。
ズシンと響く重々しい足音。
人を一撃で粉砕し、しかも銃までぶっ放す圧倒的なパワー。
どれだけ凄いかというと、怪人がスクリーンに映ると確実にフェイタリティが発生するレベル。
警察VS犯罪者という暴力社会の縮図とも言うべき構図を純粋な暴力性で蹂躙して、更なる地獄絵図にへと染め上げる!
これこそが怒りの本質、鬼の役割だ。
暴力の世界で粋ってるクズ共らが本当の暴力に打ちのめされ、肉塊と化す様は痛快としか言いようがない!
物語が後半になるにつれて対立構造のステージが次の段階にへと上がってくのも素晴らしい。

怪物はこれからも畏れを知らぬ者に裁きの鉄槌を下すのだろう。
より強く、より賢く、より意思を確かなものにして。
そこに限度はない筈だ。
喰って喰って喰いまくれ!

https://youtu.be/fmswUeo87cY
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