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真・事故物件パート2 全滅のドントのレビュー・感想・評価

真・事故物件パート2 全滅(2022年製作の映画)
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 2022年。うぅんとこれはねぇ……。女3人が事故物件住んでみたチャレンジがどえらいことになる映画の続編。今度は戦争だ! とブチ上げて予算や人数やロケやグロや造形もいくぶんリッチになって、ついでにバトルとコメディも加えて意欲的になったはいいが。
 いいのだけどしかし、「お話」がてんで盛り上がらない。この場合の「お話」というのは筋書ではなしに、キャラや観る人の感情の高揚とか勢いとかそういうモノだ。グロいし場所もいいし雰囲気もよいのだけどそれでは補えない欠落がある。
 前作では「オバケが出て怖い家だと思ったら、殺人オバケと殺人人間が出る!」「うおぉ~負けるか~ッしね~っ!」というある種のリベンジスプラッタであったわけで、この恐怖とエモーションの波が暴力とゴアを巻き込んでいろんな理屈を投げ捨てて襲いかかってきたのでこっちも多少のアラに目をつむりつつ「うおぉ~」となれたわけである。
 ところが本作では、たとえば「監督とADの絆」「クールを気取っていても所詮使い走り」、そういう要素は提出されておれどもグッとくる描き方がされていない。こらへんは脚本もそうだし、前作でも指摘した編集の雑さにも問題があるだろう。監督ーADの会話が単調極まる切り返しで続くシーンなど相当に厳しい気持ちになった。あと音声ね。台詞の半分くらいが聞き取れないの。半分が聞き取れないんですよ(2回目)
 この壊滅的な状況からバトルとか人体裏返し首ぶっこぬきとかマネージャー頭部破壊瞬殺とか見せられても、単なるビックリゴアショーで終わってしまう。「おっグロいね!」だけておしまい。笑いの要素も概して足を引っ張っている気がする。クライマックスを遅延させるスマホの場面ではさらに厳しい気持ちになった。
 そもそもエモーションとかキャラとか以前に本来の意味の「お話」の建て付けがガタガタすぎて、「理屈じゃねぇんだよ!」と言わせる力がない。主演のADの子や続投のインチキ野郎や噛ませ犬丸出しヤンキーや餃子霊能者などのいい役回り、いい味の人々が生ききっていない。
 あれこれ文句ばかり書いたけれどなんかもうちょっとこう、落ち着いて、歯車を噛み合わせてやればすごく面白くなっただろうし、続編があるならそのようにすれば何十倍もよくなると思う。ラストのふたりはこのまま終わらせるにはもったいない佇まいだった。3があったら観ますよ、ウン。やってください!
追記:ソフト/配信のためであろうしスタッフの責ではないものの、一部のグロにソフトフォーカス的なモザイクがかかっていたのはとても残念だった。
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