櫻イミト

しのび泣きの櫻イミトのレビュー・感想・評価

しのび泣き(1945年製作の映画)
3.5
映画好きで知られた三島由紀夫が偏愛した古きフランスのメロドラマ。ジャン・ドラノワ監督は本作の翌年「田園交響楽」で第一回カンヌ映画祭のパルムドールを受賞。原題は「LA PART DE L'OMBRE(影の部分)」。

才能ある貧しいヴァイオリニストと有名音楽家の娘との身分違いの恋を繊細に描く。第二次世界大戦前後のフランス映画黄金期にはこのような作品が作られ支持されていたのかと思いを馳せる。本作への三島の言及を辿ると、才能ある者の孤独に共鳴していたのと、ヒロインのエドウィジュ・フィエールがいたくお気に入りだったようだ。

※劇中の映画館シーンで上映されているのは前衛映画「貝殻と僧侶」(1928)。
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