かえるのエリー

美と殺戮のすべてのかえるのエリーのレビュー・感想・評価

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)
3.4
コナン一色の劇場で、何か面白そうなのはないかと探していたら見つけた一本。主人公のことは全く知らないが、とりあえず前情報入れずに観てみた。写真家ナン・ゴールディンの人生と薬害のテーマを絡めたドキュメンタリーだった。



以下ネタバレ感想



病を治すはずが別の病になるという皮肉。オピオイドという薬名は馴染みがなく、日本では使われていないのかと調べてみたら、手術中・手術後の痛み、外傷、分娩時やがんによる痛みなど、幅広く使われているそう。日本で同様の事故をあまり耳にしないのは、服用がある程度限定されているからなのだろう。アメリカは日本のような皆保険制度ではないし、このような薬も比較的手に入れやすいことを考えると、自由の国であるが、健康管理にも自己責任を伴う自由さを感じる。

ドキュメンタリーだが、ナンが撮った作品が洪水のように溢れてるので、画は面白い。・・・のだけどレイトショーも相まってやや眠気を誘う。中盤まで彼女とオピオイドが結びつかないので余計に。2時間の作品だが体感ではもっと長かった。

姉との話から始まって、締めも姉の事なのだが、元凶は母だったという所がサラリと流されてちょっとスッキリしない。その他の兄弟も気になる。かといって、もしそっちも深く盛り込むと、薬害のことが薄くなるし、正直なところテーマ2つともがやや消化不良ではあった。