「物語をつくるのは簡単。難しいのは正しい記憶を持ち続けること」
『美と殺戮のすべて』
タイトルに魅かれて鑑賞
たまにはこういう鑑賞もやってみたくなる。
写真家ナン・ゴールディンのドキュメンタリーであること。
ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞したこと。
オピオイド薬害のこと。
全く知らずにタイトルのみに魅かれて。
あえて内容をチェックすることもせずに。
結果、大きなカルチャーショックを受けた。
頭をカメラでぶん殴られるような衝撃。
ナンの苛烈でアート(美)な半生を縦軸に、オピオイド薬害(殺戮)への抗議行動を横軸に構成され、交互にその姿が映し出される。
タイトルの真の意味は、ナンの姉の死と大きく関わっていることを最後で知ることとなるのだが...。
「映画は世界を知る窓口」
この意味を体現する、極めてアート色の強いドキュメンタリーであった。
映画を観る意義を感じた。
観ることができてよかった。
ナンの写真にも触れることができた。
物語は映画にとって大事。
そして、正しい記憶を残すドキュメンタリーも世界には必要なのだ。