Pearl パール
1918年アメリカ・テキサス。華やかなスターに憧れるパールは、厳格な母親と体が不自由な父親と共に片田舎の農場で暮らしていた。若くして結婚した夫は戦地におり、父親や家畜たちの世話に明け暮れる生活にうんざりしていた。
本作は "X エックス" の前日譚。前作における老婆の残虐性や無邪気さ、そして性欲の強さなどを踏襲しながら、ヒロインであるパールの夢、希望、絶望、苦悩、孤独、苛立ちなどをじっくりと観せ、その後の暴走に説得力を持たせるのに成功。予想以上に深みのあるダークヒロインの物語として堪能した。
スペイン風邪のパンデミックや毒親による生き辛さなど、現代に通じる設定も効果的。前作に引き続き、名作ホラーへのオマージュや画面全体に漂う "時代感" の再現も味わい深い。
主人公のパールが抱くどうすることもできない "闇" を、ミア・ゴスが実に活き活きと怪演。ノーカットでひとり語りしながら、微妙に感情や表情が変わっていくクライマックスは余りにも強烈で圧倒された。
