ドント

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないのドントのレビュー・感想・評価

3.7
 2022年。よかった。小さな広告代理店で働く吉川は今週も大忙し。やり手の会社からは催促され周囲は頼りにならず部長はマイペース、会えない彼氏との仲も危うくなりトラブル続きでどうしようかと思っていたら、小さな広告代理店で働く吉川は今週も大忙し。やり手の会社からは催促され周囲は頼りにならず部長は……あれ?
 多忙とストレスで彩りのない、仕事ばかりの7日間が延々と繰り返されたら、というタイムループ映画である。おそろしいのだが、勤め人なら確実に身に覚えがある感覚なのでおそろしいと同時に若干のおかしみが生じる。ここに日本社会のシステムが組み込まれておりさらにおそろしく、またおかしい。「いきなり部長に伝えても信じてもらえないので、上申形式でやるしかない」とか相当に怖くて愉快だ。
 前半の、あえて間延びさせてある感覚から中盤にいくに従って加速させていく編集、わかっていない社員に「わからせ」を加えていくあたりのシャキシャキしたテンポのよさは抜群によろしい。しかし一方で、ループを脱するキーとなる代物とそれに注力する行為がどうにもこの、もう一歩、中盤までのワクワクを越えてこないあたりが非常に惜しいと感じた。
 チームワークと前に進むことというポジティブなテーマは感動的でちょっと泣いたわけだが、ちょっと泣いたからと言って是となるわけではない。もうちょい眩しくてカッコよく決めてほしかった。とは言え当の「代物」がそういうモンではないので、ベストではなくベター、正しく穏当な着地点と言えばそうなのだが。うぅんそっちに行っちゃうのかぁ~とわずかに残念に思った。
 とは言え80分のほとんどがオフィスで展開するシットコムとして、悪い意味での演劇的な狭苦しさはなく躍動とアイデアがあり、間違いなく楽しい映画である。俳優陣はマキタスポーツ以外あまり知らない人たちばかり(勉強不足でスイマセン)ながら、実にこう、いい感じの顔が揃っていたし、オフィスや小物もリアルな手触りがあった。主演の人の疲れきった顔が何より魅力的だ。もっと観られてほしい映画である。よかった。小さな広告代理店で働く吉川は今週も大忙し。やり手の会社からは催促され周囲は頼りにならず部長は
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