【もう一つの「スタンド・バイ・ミー」/線路】
この作品を観ると、どうしても映画の「スタンド・バイ・ミー」を思い出すんじゃないかと思う。
「スタンド・バイ・ミー」は1986年の作品だから、この映画の時代設定は、その2年後ということになる。
死体とトンネル。
象徴的に目指すものやタイムスパンは違えど、仲間内のあれやこれやも、家庭内の問題も、上級生との戦いも基本的には同じだ。
そして、それは僕たちみんなにも共通するところではないのか。
1980年代終盤、減点ではないけれども、少し難点を言えば、田舎もまだバブル景気で結構賑わっていたように思う。
田舎の寂れた感じは、逆に現代っぽい。
携帯もないアナログな時代だが、そこには、どこか力強いコミュニケーションや仲間意識があったような気がする。
スマホの世の中で、コミュニケーションは変わって、仲間意識なんかも変化し、このもう一つのスタンド・バイ・ミーは単なるノスタルジックな世界のストーリーになってしまったんだろうか。
少年の物語に、線路はよく似合う気がする。
未来に繋がる感じ。
しかし、それは一様ではない。
選択も迫られる。
乗り越えなくちゃならないことも沢山ある。
猫背でなよなよしているように見えた瞬が、映画の終盤では胸を張って力強くなっていた。
君達は雑魚なんかじゃない。
勉強して東大行けよ。
映画監督に絶対なれよ。
相米慎二さんも評価したという脚本。
上映館も少ないし、春休み、もっと多くの映画館でやれば良いのにと思う秀逸な作品だった。
※ 途中で、監督がシナリオをSHARPの2行液晶のワープロで打つ場面があるけれども、僕はCASIOのを使っていたことを思い出した。ちょっと安かったのだ。あれで少しずつ訓練して、ブラインドタッチが出来るようになった気がする。