takanoひねもすのたり

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

3.5
元映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインの性的虐待の告発と彼を裁判に引きずり出し有罪判決まで持っていく切欠になったNYタイムズの話。

抑制の効いたドラマ展開だった。
淡々としていつつ"誠実なマスコミ"の姿を描いていたのと、基本は被害者側の現在軸の証言ベースで、回想シーンは、そういった場面をダイレクトに使わないことから映像表現にかなり注意を払われているんじゃないかなあと感じたり。

ワインスタイン効果でエンタメ業界の告発が相次ぎSNSからグローバルに波及してった流れからのmetoo運動については、この映画にかこつけて主張することでは無いと思うので割愛。

権力者だろうが性犯罪許すまじって告発に持っていった記者の信念はマスコミのあるべき姿の理想形のひとつとして捉えておく。

バリキャリで私生活に葛藤を抱えている女性の姿を描くのは監督の前作『アイム・ユア…』でも同様だったけど……女性記者2人の私生活部分は正直無くても良かった気が。
事件の背景にフォーカスしにくくなってる気がしないでもない。

2018年のピューリッツァー賞公共サービス部門を受賞したのはNYタイムズと映画にも出てきたニューヨーカーの両方なので劇中の描き方は、若干フェアじゃないかも。