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怪奇タクシー 風の夜道に気をつけろ!のドントのレビュー・感想・評価

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 2023年。水木しげるの元アシスタントによる水木しげるそっくりの絵の交通安全勧善懲悪ホラーマンガ『怪奇タクシー』の実写化。妖しきタクシー運転手が導く3話の恐怖譚。原作既読。原作はおもしろいよ。あと話もおおむね原作通りだよ。
「出演していた中堅俳優のスキャンダルで撮り直しになった」という苦労話を耳にしていたため、まぁ大変だったんだろうなぁ……と同情する気持ちを抱えつつ観賞。そういう予断を持って映画を観るのはよくないのだが。しかし。しかしながら。それにしたってハンパではない低予算、いや激安ぶりで動揺してしまった。怪運転手のマンガそのままの造形とか、二口女とか、口から出てくるヌラヌラモンスターとか、安田サーカス団団長の思わぬ好演とか良いところもあるけれど、いかんせんこの激安加減。
 演出はできうる限りやろうとしている気配はある。でも照明とか映像(画質)とかロケーションとか小道具とか出演者とか、全体から醸し出される非・豪華感、せちがらさがそういった努力を覆い隠して見えなくしてしまう。カメオ出演・友情出演枠で芸能人が何人か顔を見せる。しかしメンツが神田うの、よゐこ有野、山田邦子、ダイヤモンド☆ユカイなどである。伝わりますか。伝わりますかこの侘しさが。
 とにかく全体にお金がない。たぶん時間もなかったのだろう。観たのが寒い夜だったのでより寒々しく感じた。3話目の、車で走っているシーンで合成の色調整がなんか上手くいっておらず車内と運転手が真っ青になっている有り様を見せられた時は凍死するかと思った。大概の低予算映画の安さは「まぁ、ね!」と見逃す私も「ええっ!?」と驚いてしまった。
 いやぁ大変ですよお金がないのは。ここにさらに再撮影があったわけで。まぁ映像がうすらぼんやりしてるのや青いのはどうかと思うんですけれども。厳しい撮影環境は厳しいな、とひしひし、しみじみ思いました。皆さんお疲れ様でした。俺もお疲れ様でした。おわり。
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