リミナ

ブラッククローバー 魔法帝の剣のリミナのレビュー・感想・評価

3.6
原作者の田畠裕基先生が総監修・キャラクター原案を務めたシリーズ初の劇場作品。

宣伝ではアクションを前面に押しているが、それに違わず実際の本編も冒頭から結末まで、大半がアクションシーンに充てられている。
その分、会話がアクションパート内で行われることも多いのだが、一部をオフ台詞にすることで極力テンポを損ねない作りになっていた。

肝心のアクションは見所が多く、特に中盤の地下、終盤の戦闘ではロングショットやパースを効かせた構図を合間に挟むことで緩急がつけられていた。また、一般的な作品では浮きかねない"sakuga"と呼称されるような作画スタイルも終始一貫してあるため、悪目立ちせず本作に溶け込んでいる。

ただ、ジャンプアニメの劇場版の宿命とも言えるが、尺に対してとにかく登場キャラ数が多い。それはファンを考えてのことでもあるし、世界の危機という状況で登場させないと不自然を生んでしまう構造上の仕方なさでもある。

終盤は計4戦(その内2戦は多人数)を同時並行で進行させる展開で、所々テンポが悪く感じてしまう場面があった。それでもどの戦闘も画面の熱量が同程度に保たれていることで、途中で別戦闘に跨いでも観客側のテンションが途切れにくいものに。
「諦めないのがオレの魔法だ」と言わんばかりに一戦が長いのも本作の特徴。大技を決めても何度も立ち上がり、ボルテージを高めながら戦いは続いていく。相手がいずれも元魔法帝という肩書故に簡単には倒されない。

TVシリーズは2年前に放送を終えたが、当時の制作スタッフが再集結しているのも熱い。当時同様にクレジットには国内外の若手アニメーターが多数並び国際色豊かなものに。もちろん、シリーズ初参加の田中宏紀氏や杉田柊氏、前並武志氏といった方々の存在も欠かせない。

Netflixでの配信もあるが、劇場の環境に相応しいお祭り感のある作品だった。
リミナ

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