このレビューはネタバレを含みます
愛そのものがエゴだと私は考えてる。「相手に影響を与えたい」って感情自体がエゴ。
だからこそ、せめて相手に差し出すときは、"自分の存在は切り離して"現実的に相手の幸せを考えた行動をしたいなと思う。
ただ、それが難しいよね…
・・・
私は、幼少期の親の過干渉により、主体性を失い、自分の本当の気持ちが分からなくなってしまった人を知ってる。
親は、「子どもに失敗して欲しくない」という一心で彼女を育てたのに。
でも、それも「"自分が"守ってあげたい」「傷ついてほしくない」なんてエゴを孕んだ愛情だったわけで。
愛って難しいな、皮肉だなあと思う。
・・・
映画の話に戻るけど、私だったら、龍太が自分の力で納得して稼げる方法を一緒に模索する。
(実際に多くはないけど、中卒でも安定して収入を得る方法はあるので…)
浩輔が考え得る一番の「愛」があの形だったと思うんだけど、自分の「好き」が勝ってしまって「自分ありき」で彼の幸せを考えずにはいられなかったんだろうな。
でも…「受けた相手が愛情を感じ取っていれば、それは愛なのである」という言葉には本当に救われた。
人は身勝手にしか生きられないけど、
こんなにも「相手の人生に入り込みたい」「どうにかしてあげたい」って頭の中全部支配されちゃうような相手に出会えて、相手もそれを受け取ってくれている。
そんな素晴らしいことはないよなあとも思った。
帰り道、頭を悩ませつつもずーっと余韻に浸っていたくなるような、大好きな映画になりました。