HiromiA

あつい胸さわぎのHiromiAのレビュー・感想・評価

あつい胸さわぎ(2023年製作の映画)
3.6
 和歌山って東北から見ると、関西なんだけどのんびりしてる田舎って印象だったんだけど、関西弁がポンポン出て大阪並みにおもろい会話が必須の地域だったんだ。でも少女の恋心は一緒でしたね。少女が大人になる過程が丁寧に描かれていた気がしました。一方で若い人の癌は進行が早いのが常で、医者が治療を急がせないのが不思議でした。女性の気持ちはわからないのですが、胸が膨らむ時期に男性からそのことを指摘されるのは嫌だったり恥ずかしかったりするのでしょうが、それがあまり気にならなくなることが大人になることなんでしょうか。あるいは千夏は乳癌で乳房切除をしたら恋なんかできなくなると不安に思っていたように女性としての大切な特徴であると自覚し大事に思うようになるのはいつからなんでしょう。千夏のように乳房を失うかもしれないというきっかけがなかったらいつそれを自覚するようになるのでしょう。それが大人への一歩なんでしょうか。そこら辺は男にはどうやっても理解できない部分でした。それでも母娘の関係において母親が娘の成長を認識し一人の大人として接することができるようになるきっかけになったことはよくわかりました。また千夏が透子と光輝の関係を年齢差から気持ち悪いと評したけど、小説家を志すのであればもっと気の利いた言葉にできなかったのかなあとは思った。気持ち悪いのは整理のつかない自分の気持ちでしょ。まあでも思いもかけない病気を抱えていることがまだ受容できない千夏の揺れる思いが我儘や感情の高ぶとなってあらわれるのは当然かな。そんな少女を見守る常盤貴子や前田敦子がいい味出してましたね。そして兵庫育ちの常盤さんの関西弁講座はちょっと参考になりました。
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