ドント

バーバリアンのドントのレビュー・感想・評価

バーバリアン(2022年製作の映画)
4.0
 2022年。な、なんだあっ。空いてる家を貸りてホテル代わりに泊まるセルフ民泊がダブルブッキング。しかも被った人が男だったので怖いなぁ、なんだか嫌だなぁ、大丈夫かなぁ、と思いつつ宿泊することにした就活中のテス。けれどなんだかこの家、おかしいぞ……?
 まずはまったくもって語り口と脚本の映画と言えよう。序盤こそいささかスローかつ単調で、「この人ヘンな人じゃないよね……」というちっこい不安を配置しつつ安直な流れを潰していく手際のよさはあれども、「これ面白くなるんかいな?」とちと心配になった(カメラを切り返してばかりの会話シーンが苦手なんですよ)。
 がしかし、コトが起きはじめると「?」「!?」「!!?」「えっ誰?」「それどころじゃないよ!」「ッッッ!?」が心地よく炸裂していくナイスな作りになっている。加速度的に旨味と面白さが口に押し込められていくのだ。そう考えると序盤のすっトロさも助走として存在したのだな、と納得できる。終わってから俯瞰して見ると結構奇ッ怪な映画である。
 あまり多くを語ってはならないと言うか、説明すると「は?」と返される内容なので伏せておく。時間が進みレイヤーが変化するに従って舞台も演出も手数が多くなっていくあたりウマいもんであるし、ビックリドッキリ映画だけでは済ませない現代的なサムシングもある。途中からいきなり知性が30くらい減るあたりのネタ性もまさに2020年代の映画と言えよう。
「なにっ」と驚きたい人、先の読めないスリルに飢えている人、構成の美を味わいたい人にはぴったりの逸品でありましょう。こう見えてグロいシーンがあんまりないのも見やすいかもしれない(別のグロさは見せつけられますが……)。あとね、私がアメリカに行くことになっても、デトロイトには行きません。デトロイト怖い。早くロボコップ導入して。
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