デニロ

悪女の季節のデニロのレビュー・感想・評価

悪女の季節(1958年製作の映画)
2.5
1958年製作公開。脚本菊島隆三。監督渋谷実。神保町シアターのチラシにブラックコメディとの記載があったけれど、そんなおとなしいもんじゃなかった。

上映館の特集テーマが小悪魔的女優論ということなので、小悪魔は岡田茉莉子なのだろう。芳紀25歳。黒目がち、均整の取れたあごのライン、そんな彼女のコケティッシュな仕草に男は参ってしまう、ということを彼女自身がよく分かっていて、でも、疑い深い東野英治郎には通じません。

冒頭、東野英治郎は定期健康診断で実年齢よりも20歳若いという結果にご満悦。『生きる』の志村喬とは違うのだ。岡田茉莉子の母親で東野英治郎の資産目当てでかしづく山田五十鈴。しかしながらぞんざいに扱われて恨み骨髄。東野英治郎も元気いっぱいで当分お目当てはお預けだ。いっそのこと始末して資産をせしめようと企むのだが。伊藤雄之助、杉浦直樹、岡田茉莉子らが押し寄せ何が何やら。よくもこんなにハチャメチャな物語を拵えたものだと恐れ入る。

ラストは殺伐とした雰囲気で、山田五十鈴もライフル銃を構えるなどして大立ち回り。「ザ・ガードマン」「キーハンター」のグロテスクな部分を思い起こしたりもして、とても笑えるような代物ではありません。

企画を通した人凄い。

神保町シアター 小悪魔的女優論――可愛いだけじゃダメかしら
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