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四月のsonozyのレビュー・感想・評価

四月(1962年製作の映画)
4.5
グルジア出身のオタール・イオセリアーニのデビュー作。モノクロ作品。

ボロ屋が並ぶ貧しい地区。
老人たちが屋根の上や町角で笛を演奏している。

幸せそうな一組のカップル。
オーバーオールの男と白いワンピースの女。
別れを惜しみながら手を離し、彼女は一旦家に戻るがすぐにまた再会。

町中を家具職人か家具屋らしき黒い制服を着た男たち多数が家具を運び回っている。
二人はキスをするため人目を避けようとビルに入るがその男たちが行き来するので出来ない。もうこんなの嫌!的な態度で泣いて走り出す彼女。

男は必死で走り先回りし、最後は仲直り。丘の上に立つ一本の木の元で抱き合いキスをする。

(おそらく4月)新たな集合住宅が建設され、貧しい地区から、楽団員の老人たち、筋トレ男、バレリーナらと共に二人も引っ越す。
キスをすると電気が点灯し、水道から水が出て、ガスコンロの火がつく(このシーンが面白い)、家具も何もない部屋で新たな生活がスタート。

家具屋兼管理人?の小男が、他の部屋の中を覗かせたり、家具のない二人に椅子一脚と玄関用の南京錠をプレゼントすると、少しづつ家具を増やし始める二人。

小男と家具屋は丘の上の一本の木を切り倒し、続々と家具を製造。

物欲が止まらない二人は、家電製品や多数の家具・食器で部屋が埋まり、なぜか南京錠も増えていく。笑
すると揉め事が増え、キスをしても電気・水道・ガスがつかなくなってしまう。

やり場のない気持ちの二人は、幸せだったあの頃を思い出し・・・

ほぼセリフはなく、ミニマムな音、ショットと構図の妙。
貧しい地区、牧歌的な高原、新興住宅地の対比。
家具屋、工事現場メンズ、楽団員、筋トレ男...のキャラクターとコスチューム。
コミカル、ちょっとシュール、風刺的要素もありのラブストーリー。
素晴らしい!

ここで高画質版が見れます。
HENRI - La Cinémathèque française
https://www.cinematheque.fr/henri/film/69050-avril-otar-iosseliani-1961/
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