みむさん

January(原題)のみむさんのレビュー・感想・評価

January(原題)(2022年製作の映画)
3.5
トライベッカ映画祭にて。

ソ連の崩壊とラトビア独立を映画監督志望の1人の青年の目を通して描いたもたのだった。監督の半自伝的映画だそうだ。1991年の出来事。

なんとなくラトビアの独立と主人公の自立がリンクしているようにも見える。どちらも苦悩の末で、この時点でも先行きは不透明

映画監督志望ということで、監督名がたくさん登場、ジャームッシュが好きで、ヘルツォーク、ベルイマン、ファスビンダー、タルコフスキーの名前も話題に出てくる。

主人公のジャニスはラトビアは独立国家だと訴え続け、ソ連が占領するプレスハウスに乗り込み撮影を敢行、案の定危険な目に遭うが映画学校で同じ志の女性と出会い恋愛関係に。

恋愛ドラマと記録映画を撮影する青年を追うフェイクドキュメンタリーの並行のような形。実際の映像と二人が撮影した素材風の映像を織り混ぜながら独特の雰囲気で進んでいた。

後から知ったが恋人アンナがアシスタントとして働く劇中に出てくる「有名映画監督=Juris Podnieks」は実在したラトビアのドキュメンタリー監督らしい(故人)。

同じ夢を叶えるために歩みだした二人が次第に距離が出来て、チャンスをものにするしないがはっきり現れ、夢を追うか愛を取るかという夢追い恋愛ドラマあるあるを混ぜつつ、同時に混沌としたラトビアの状況を映し出していた。

今見るとウクライナの映画人の姿と少し被る。

政治的混乱と抑圧の中で映画を撮り続けた映画人に捧げる映画になっていた(最後にその文言あり)

※OMON = ロシア特別警察部隊