ないで

野いちごのないでのレビュー・感想・評価

野いちご(1957年製作の映画)
4.8
名誉博士号の授賞式に半日かけて車で向かうことにした老医師のイサク。飛行機で行きたがっていた家政婦のアグダの代わりに、義理の娘のマリアンヌを伴うことにする。

彼の書きかけていた手記によれば、イサクは早くに妻を亡くし、友も作らないまま医学の道一筋に打ち込んできた孤独な男。しかし実際には40年一緒にいるというアグダの機嫌を取ろうと苦心している様子だし、マリアンヌにはデレデレで、道中出会った人々をどんどん車に同乗させてあげる気の良いお爺さんといった雰囲気もある。そして美しい嫁マリアンヌがなぜ息子と別居してイサクの元に身を寄せていたのかが道行きの間に徐々に明かされていく。

ベルイマン39歳頃の作品で、目的地で待つイサクの息子エヴァルドの年齢とはほぼ同じ。マリアンヌとエヴァルドの別居の理由については、あ、いつものやつか・・・と思ってしまいましたが、そう思ってみると老齢のイサクの中に若者時代の面影が重なって見えるようにも思えて役者力を感じました。何より1日の最後に若さ輝くサーラから「イサクが一番好き!」って言ってもらえて本当に良かったよね。自分の中ではこのラストシーンは歴代ベストかもしれないです。
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