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イコライザー THE FINALのドントのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
4.0
 2023年。ありがとう、マッコールさんありがとう。イタリアで(人を殺した後)少し休むこととなったマッコールさん、小さな町に溢れる平和と人情に触れ、穏やかな日々が続く、はずだったが、マフィアが悪行を働くので世直し(人殺し)に出陣する。
 世の守護者となった1、自身の裏焼きとも言える悪を葬る2と続いて、本作3においては完全に任侠モノ映画と化した。高倉健と言うよりは藤純子であり、つまり旅人が恩を受けた人々を脅かす悪党を始末するという話である。テレビ時代劇っぽくもある。名もなき流れ者と考えるなら古風な西部劇とも見てとれる。任侠モノとしては悪党の始末の仕方が残酷すぎるのだがまぁそれはまぁさておき。
 老体になりつつあるデンゼル・ワシントンにはさすがにすごいアクション、肉弾戦などを望むべくもないが、代わりに老いてなお増す聖性・善性が目線や動きに現れていて、これが町の善き人々との交流、解きほぐれていくマッコールさんの心情に深い味わいを与えている。聖とか善と呼ぶには殺し方がドエグいと思うがまぁ相手は極悪非道なのでそれはそれで。
 イタリアの風景、住民たちのいい人ぶり、デンゼル=マッコールさんの人のよさがあいまって人情ドラマとして成立していて、それはそれとしてマフィアが撃斬押轢刺絞貫殴呑追と次々と無慈悲に処刑……やっぱりおかしいよ! 怖いよマッコールさん! 『ハロウィン』と並べても区別がつかないショットが1つ2つじゃなかったよ! 怖いよ! 
 そんなこんなで、優しく愛されるマッコールさんと惨殺仕置人のマッコールさんが平然とした顔で同居して、まぁ眼球を潰されたり首がもげたりしてたけど最終的には「いやぁ、よかったよかった」とホッとできる映画なのであった。なのでやっぱり時代劇ッスねこれは。このフォーマットで続編が10本は作れます。こういう映画が混迷の時代に作られるというのは本当に嬉しい。邦題にはFINALとあるが原題は単に「3」。なので、マッコールさんにはぜひ日本にも来てほしいです。
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