TOTO

FALL/フォールのTOTOのレビュー・感想・評価

FALL/フォール(2022年製作の映画)
3.5
「技術革新の足枷――」

CSでやってたので怖いもの見たさで鑑賞。高所恐怖症にはたまらない作品です。
劇場の大スクリーンで観たらさぞ迫力あるだろうとは思いますが、正直、2000円も払う価値は感じられません。

プロットは極めてシンプルです。
趣味のロッククライミングの最中に愛する夫を失った主人公が、親友と共に600メートルのテレビ塔に登って梯子が落下して取り残される話。

とにかくこの作品の目玉は、そんなの実在するわきゃないじゃんのテレビ塔です。
ひたすら細長い錆錆の塔の上、怖いは怖いし、思わず目を背けるシーンも多いです。
でもこれは現代映画の宿命、CGだと思い込んだらなんにも怖くない。どうせ合成でしょう、と。
しかしながら彼らの名誉の為に伝えておくと、撮影はなるべくCGを使わずに、実際に30メートルの高地で芝居したそうです。でも鑑賞中はそんなこと知らないから、どうせCGなんでしょうと半笑いで観てました。
これは今後、全てのアクション映画について回る不幸ですね。

そう考えると1975年のクリント・イーストウッド「アイガー・サンクション」は本当に怖かった。
当然、CGのない時代ですから、その高さはまんまアイガー北壁の高さだし、俳優たちはまさしく命がけの撮影でした。実際にこの映画撮影中にカメラマンが滑落して亡くなっているほどです。

もはや、本当に怖い映画は過去の異物なのかもしれません。
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