「聞く人を感動させる歌」を映画の中で実際に歌わせるのは相当に困難なことで、これができてしまっている映画としてこれからも長く見続けられる作品になったと思う。
ライブ映画やファンムービーならまだしも、歌われる楽曲が好きじゃない僕のような人までねじ伏せる歌だった。上手いとか下手とかでもない、楽曲の素晴らしさでもない。
「なぜそれを選曲したし」と誰もが思う冒頭が反転してしまう構成。思い入れがなかったのにいつの間にか思い入れてしまっている。
声変わり直前のラストソングという二度と訪れない時と、どう考えても長くは続けられない幻のような友情の時とが重なったエモーションを見事に体現できている歌唱で思わず涙がポロリ。あの歓喜の輪に僕も入りたいと思わせられた。