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ザ・ミソジニーのドントのレビュー・感想・評価

ザ・ミソジニー(2022年製作の映画)
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 2022年。これはあれだね! うん! ねっ!! 新作脚本の稽古と称して、女優を山奥の別荘に引き込んだ腹にイチモツ抱える劇作家。女優の側も劇作家の恋人を寝取っている過去があり、さらに劇作家の語る「新作の土台にした、ある謎の番組」について魅かれるものがあり……。そうして訪れた別荘で起きる怪異、降霊。虚実が混ざっていき……
 よくわかんなかったからデルモンテ平山っぽい調子で書くとね、これはアレだね! 女性はなぜ現実世界のみならずホラー映画でひどい目に遭うのか? っていうのを語った映画だね! 世界や歴史や映画ワールドで、女性はなぜよくない扱いを受けるのか? そういう話ですよ。
 つきつめて言うと、穴。女は子供を生む穴があって、世の中のバカな人たちは、そこから子供だけじゃない、なんかもうおっかないものまで生まれ出るんじゃないか!? なんだったらもう地獄に続いてるんじゃないか!? とか考えて、ウワーッ女怖い! とかバカなことを考えてるわけ。
 さらに進めると「この穴によって地獄パワーがモノにできて、世界征服いけるんじゃね!?」とか考える奴らも出てきて、もう女はね、困ってます、と。差別と聖別は紙一重とか言うけど、そういう風に扱われがちです、困ります、と。
 でもちょっと面白いのが「世界征服!」とか考えてる奴らの頭領も「母親」だったりする所で。我が子かわいさで呑み込む、ってのは母性のアレですよ。蔑視的な女への恐怖に、母の恐怖も被さってくる、そういうこと!
 そんなわけでまぁ、難しい作品ですよ! ロケーションや雰囲気や音、全体の恐怖表現は悪くないんだけど、何やってっかわかんねぇと「怖いけど何やってっかわかんねぇな!」ってなるからね。これがたとえば商業作品で監督が高橋洋じゃない別の人なら「いやーちょっとわかんないッス」となるし、高橋洋ももう少しマイルドな話を書くと思うの。でもそうじゃないわけですよ!
 以前から興味のあったオカルトと政治、つまり非現実とナマの現実(本作でも死体写真とかが出てくる)の接近について最近とみに深く沈降している高橋洋の、脳内原液映画とでも言えばいいのかしら。高橋洋の映画はどんどん儀式めいてきていてわからなくなりつつあるので、けど考えてることは面白そうだから、誰かちょっとこっち(俗世間)に引っぱり戻してみてほしい。
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