ゆめちん

窓辺にてのゆめちんのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
4.0
窓辺にて
 
映画を観ているのに、まるで一冊の小説を読んでいるような感覚に。今泉監督の会話劇の世界にグッと引き込まれ、143分という尺もあっという間に感じた。
 
フリーライターの市川茂巳は、編集者の妻・紗衣が売れっ子小説家と浮気していることを知りながら、妻にそれを言えずにいた。それだけではなく、彼は浮気を知ったときに芽生えた自身の感情についても悩んでいた。
 
今泉監督と稲垣吾郎という、今までありそうでなかった組み合わせ。稲垣吾郎が持つ温和でふんわりとした雰囲気と、今泉監督の不思議な空気感がここまで相性抜群だとは。
 
世間一般的に見れば茂巳は変わっているかもしれないが、夫婦の愛情や男女の恋愛観などは十人十色。無理やり枠にはめ込むのではなく、自分や相手に対して "ありのまま" を曝け出して正直に生きる方が、人生に納得できるのでは。そんな監督の温かいメッセージが感じ取れる。
 
フルーツパフェを食べ、ラブホに行き、パチンコを打つ、という稲垣吾郎らしくないシチュエーションが新鮮に映る。高校生の留亜を演じた玉城ティナの無邪気さも作品のいいアクセントに。
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