社会のダストダス

遠いところの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

遠いところ(2022年製作の映画)
3.9
☑貧困
☑若年出産
☑家庭内暴力
☑少年犯罪
☑ひとり親
☑自殺
☑児童虐待
☑未成年飲酒
☑非正規雇用

2時間の中でチェック項目をすべてぶち込んだような鬱展開の乱れ打ち、感動とは何か違う意味の分からない涙が出てきて、沼に沈んでいくような映画だった。こうも全部乗せだと精神的に過負荷になる。

沖縄の方言が強い台詞の応酬なので所々何言ってるのか聞き取りづらいが凄い没入感。これを沖縄のリアルとして鵜吞みにしていいのか分からないが、これだけ問題を掘り起こしまくった割には、沖縄で連想しがちな基地問題には触れていないような感じだったのは意外だった。

主演は実写では初めて観る花瀬琴音さん、『すずめの戸締り』の途中に出てくる女中役の人だったと思う、本作ではかなり体当たりな熱演。てっきり沖縄出身なのかと思ったら、東京の方らしく馴染み具合が凄い。

アオイの旦那マサヤを演じた佐久間祥朗さんも感動的なクズっぷりで、ご本人のことをリアルで嫌いになれるレベルの人でなしだった。早く空から隕石が降ってきて直撃して死なないかなと観ている間ずっと思っていた。

映画としては一瞬たりとも愉快なシーンはないけど、役者さんたちは生々しい好演で、中島歩さんや宇野祥平さんなど見覚えある人たちもちょい役ながら印象的なシーンで出ていた。方言の会話が多いので3割くらいは何言ってるのかよく分からないのは少し勿体無かったので字幕があっても良かった気がするが、そうするとこの没入感は削がれてしまうのか。

普段はあまり行かない池袋での鑑賞、上映前におっさんがロビーで騒いでて警察呼ばれていた。怖、やっぱり普段行かないところはあまり近づかんどこ。